ClaimCenter でのエクスポージャーの概要

次のセクションでは、ClaimCenter でのエクスポージャーの動作の概要を示します。

エクスポージャーとは

エクスポージャーは、クレームに関連付けられたオブジェクトであり、潜在的な賠償や潜在的な関連賠償セットの追跡に使用します。どのエクスポージャーも、1 つの補償(資金の「源泉」)と 1 つの保険金請求者(資金の「送金先」)にリンクされます。

例えば、Ray Newton さんが個人用自動車保険に加入しているとします。所有のトヨタ車の運転中に Robert Farley さんのホンダ車と衝突し、双方の車に損傷が発生したことを、保険会社に連絡します。Robert Farley さんも頸部に傷害を負いました。関連するクレームには、これらの潜在的な賠償を追跡するために 3 つのエクスポージャーが存在すると考えられます。

保険金請求者 補償
潜在的な賠償先は... Ray Newton 源泉となる保険契約の補償は... 車両保険 Ray の車両の修理に支払われる
潜在的な賠償先は... Robert Farley 源泉となる保険契約の補償は... 第三者財物損害補償 Robert の車両の修理に支払われる
潜在的な賠償先は... Robert Farley 源泉となる保険契約の補償は... 第三者対人傷害補償 Robert の頸部傷害の医療費に支払われる

一部のエクスポージャーの支払は 1 回になります。上記の例の 1 つ目と 2 つ目のエクスポージャーはその可能性が高くなります。通常、車両の修理は 1 回の支払で対応できます。その他のエクスポージャーは一連の関連する支払を管理します。上記の例の 3 つ目のエクスポージャーはその可能性があります。治療は長期に及ぶ可能性があり、毎回の治療ごとに複数回の支払が必要になると考えられます。

エクスポージャーと補償

どのエクスポージャーも補償の種類と直接リンクしています。補償の種類は、保険契約で指定されている損害の一種です。例えば、個人用自動車保険には、PACollisionCovPALiabilityCov という 2 つの補償の種類があります。PACollisionCov は、被保険者が所有する車両に対する損害を補償します。PALiabilityCov は、被保険者が損害を引き起こした場合に、第三者が所有する車両に対する損害を補償します。

どのエクスポージャーもエクスポージャーの種類と間接的にリンクしています。エクスポージャーの種類は、エクスポージャー用に収集される一連の情報です。例えば、VehicleDamage はエクスポージャーの種類です。これは、車両の損傷箇所はどこか、運転者は誰か、エアバックは開いたのかなど、損傷した車両に関して収集される情報で構成されます。

補償が異なっている場合でも、2 つのエクスポージャーを同一のエクスポージャーの種類にリンクすることができます。例えば、PACollisionCovPALiabilityCov は別の補償ですが、これらは両方とも損傷した車両に関与する可能性があります。関与する補償に関わらず、損傷した車両に関して同じ情報セットを収集する必要があります。このため、この 2 つの補償は 1 つのエクスポージャーの種類、VehicleDamage にマッピングされます。このエクスポージャーの種類は、クレームプロセスの実行中に収集される情報を決定するために使用されます。

一部の補償は複数のエクスポージャーの種類にリンクします。このため ClaimCenter では、補償の種類はエクスポージャーの種類に直接リンクされません。代わりに、ClaimCenter ではこれらが補償のサブタイプを通してリンクされます。補償のサブタイプは、補償の種類とエクスポージャーの種類をリンクする値です。次に例を示します。

  • PACollisionCov は、補償 PACollisionCov をエクスポージャーの種類 VehicleDamage にリンクする補償のサブタイプです。(この場合、補償の種類と補償のサブタイプは同じ名前になります。)
  • PALiabilityCov_vd は、補償 PALiabilityCov をエクスポージャーの種類 VehicleDamage にリンクする補償のサブタイプです。

エクスポージャーの作成時には、その補償と補償のサブタイプの両方を指定する必要があります。

エクスポージャーと支払備金明細

エクスポージャーが作成されると、ClaimCenter がそのエクスポージャーの支払備金明細も作成します。支払備金明細は、特定のエクスポージャーに関連する見込保険金支払のために確保された金額です。多くの場合、保険会社には、支払能力を確実に維持するために支払備金明細の作成が法的に求められます。

支払備金明細は次の方法で作成されます。

  • ビジネスルールにより自動的に作成
  • 担当者が手動で作成

エクスポージャーから支払が行われるときの資金は、この支払備金明細から拠出されます。

エクスポージャーと検証レベル

クレームの場合と同様に、エクスポージャーのライフサイクルの間に、エクスポージャーは 1 つ以上の成熟度レベルを通過します。ClaimCenter では、これらは検証レベルと呼ばれています。ベースコンフィギュレーションには、次のレベルが含まれています。これらはクレームとエクスポージャーで共通です。

  • 読み込みと保存:データベースへの保存に十分な情報がクレーム/エクスポージャーに含まれています。
  • 新規クレーム登録完了:担当者にアサインするための十分な情報がクレーム/エクスポージャーに含まれています。
  • ISO に有効:ISO に提出するための十分な情報がクレーム/エクスポージャーに含まれています。(ISO は全米で使用されるデータベースであり、同じ損害が複数の保険会社から提出されていないことを検証します。)
  • 外部(システム)に送信:保険会社内の外部システムに関連情報を送信するための十分な情報がクレーム/エクスポージャーに含まれています。保険契約更改率を評価できる保険契約管理システムなどが外部システムになります。
  • 支払可能:支払を作成できるだけの十分な情報がクレーム/エクスポージャーに含まれています。
注: ベースコンフィギュレーションでは、ClaimCenter SOAP ベースの ClaimAPI API 経由でインポートされたクレームおよびエクスポージャーのみに、「読み込みと保存」レベルは適用されます。システム API 経由で送信されたドラフトのエクスポージャーは、どのレベルも通過する必要がありません。ドラフトのクレームが未了クレームに格上げされるには、ドラフトのクレームとそのすべてのエクスポージャーが「読み込みと保存」レベルと「新規クレーム登録完了」レベルを通過する必要があります。詳細については、[事故受付の実行]を参照してください。

エクスポージャーの検証レベルは、一連のエクスポージャー検証ルールによって決定および適用されます。エクスポージャーに変更が行われると常に、エクスポージャーを後の段階の検証に進めることができるかどうかを検証ルールが決定します。検証ルールは、エクスポージャーが下位レベルの検証に戻ることも防止します。検証ルールの詳細については、『Gosu ルールガイド』を参照してください。

クレームとそのエクスポージャーは常に同じ検証レベルにあるとは限りません。例えば、2 つのエクスポージャーを含むクレームがあるとします。クレームが「外部(システム)に送信」レベルにあるときに、エクスポージャーの 1 つは「新規クレーム登録完了」レベル、もう 1 つは「支払可能」レベルにあることが可能です。

支払を行うためには、その支払の発生元となるクレームとエクスポージャーはどちらも「支払可能」でなければなりません。クレームに複数のエクスポージャーが含まれ、そのクレームと、エクスポージャーの中の 1 つが「支払可能」である場合は、他のエクスポージャーがまだ「支払可能」に達していなくても、「支払可能」であるその 1 つのエクスポージャーから支払を行うことができます。

エクスポージャーとクレーム連絡先

どのエクスポージャーにも少なくとも 1 つのクレーム連絡先があります。それは保険金請求者です。エクスポージャーには追加のクレーム連絡先を関連付けできます。

クレーム連絡先の詳細については、クレーム連絡先(ClaimContact)を参照してください。

エクスポージャーとインシデント

どのエクスポージャーもインシデントに関連付けられています。インシデントは、次に示すような損害または損傷を受けた項目を一般的に表す情報のコレクションです。

  • 車両
  • 財物(住居や柵など)
  • 1 つ以上の負傷を負った人

インシデントなしでエクスポージャーを作成することはできません。インシデントの詳細については、インシデントを参照してください。